台湾で行われた野球のプレミア12・日本vs台湾の試合では、台湾チームから珍しい名前の選手が登場!
選手の名前は「吉力吉撈・鞏冠」、試合を放送したTBSのアナウンサーは「キチリキキチロウ・キョウカン」と呼んでいましたが、ほかにもいくつか読み方があるようです。
吉力吉撈・鞏冠選手の名前は何種類あるのか、どんな読み方なのか、調べてみました。
【動画】吉力吉撈鞏冠(キチリキキチロウキョウカン)の読み方が長い
2024年11月16日に台湾の台北ドームで行われたWBSCプレミア12の日本vs台湾の試合。
6回裏の台湾の攻撃で、吉力吉撈・鞏冠選手が代打として登場しました。
試合中継を行ったTBSのアナウンサーが読み上げたのは「キチリキキチロウ・キョウカン」!
めちゃくちゃ長い名前ですね!
台湾のキチリキキチロウキョウカン選手、お名前がとても長いのでめっちゃカタカナ表記ちっさくてテレビににじり寄ったの私だけじゃ無いはず
— めきちう (@mekichiume) November 16, 2024
これを聞いた日本の視聴者たちからの反応は大きく、「長い!」「かっこいい!」「言えない」「覚えられない」「どこで区切るの?」とざわつきます。
「キチリキキチロウキョウカン」???
— まさと (@Q5zAo) November 16, 2024
どこまでが名字?
気になる~(^o^)#プレミア12台湾
ちなみに「吉力吉撈(キチリキキチロウ)」が名前、「鞏冠(キョウカン)」が家名です。
中華圏の人物名は日本人の名前と同様に名前は後ろですが、吉力吉撈・鞏冠選手の場合は逆です。
「早口言葉みたい」という人も出現!
キチリキキチロウキョウカン
— 🐯とらぴ🐯 (@tora_atsuki) November 16, 2024
キチリキキチロウキョウカン
キチリキキチロウキョウカン
早口言葉でどうぞ
アナウンサー泣かせな名前だね!舌噛みそう…
吉力吉撈鞏冠(キチリキキチロウキョウカン)の名前の読み方4種
吉力吉撈・鞏冠(キチリキキチロウ・キョウカン)選手は、台湾のプロ野球チーム味全ドラゴンズ所属の選手で、ポジションはキャッチャーです。
2022年・2023年2年連続で本塁打王を獲得したパワーヒッターであり、今回のプレミア12では台湾代表として出場することになりました。
2年連続で本塁打王ってすごい!
吉力吉撈・鞏冠選手の名前は、どうしてこんなに長くて複雑なのでしょうか?
キチリキキチロウキョウカン、すごい名前すぎて調べたらスポナビはジリジラオ・ゴングァンだしWikipediaではギリュギリャウ・クンクアンとギレギラウ・ゴーングアンの2つあるしもうわけがわからん pic.twitter.com/AkiaNad8qE
— 草生えてるきのこ (@tadanokusa34) November 16, 2024
吉力吉撈・鞏冠選手のWikipediaを見ると、何通りものの名前の呼び方があり混乱しますが、整理すると以下の通り。
パイワン語 | Giljegiljaw・Kungkuan(ギリュギリャウ・クンクアン) |
台湾語(閩南語) | 吉力吉撈・鞏冠(ギレギラウ・ゴーングアン) |
台湾華語(中国語) | 吉力吉撈・鞏冠(ジリジラオ・ゴングァン) |
日本語 | 吉力吉撈・鞏冠(キチリキキチロウ・キョウカン) |
台湾の人種は、中国大陸からやってきた漢民族と、台湾にもともと住んでいる先住民「台湾原住民」がいます。
その台湾原住民にパイワン族という民族がいますが、吉力吉撈・鞏冠選手はパイワン族出身なのです。
吉力吉撈・鞏冠選手はもともと、家族に勧められて「朱立人(Zhu Liren)」という漢名で選手登録をしていました。
しかし本人はずっと本名に変更したいと思っていたそうで、2019年に本名のパイワン語名「Giljegiljaw・Kungkuan / 吉力吉撈・鞏冠」に変更したそうです。
今回の名前の移り変わりを発音から推測すると、次のような流れとなります。
- パイワン語の発音
- 1に近い台湾語(閩南語)の発音から漢字の宛て字をつけた
- 2の漢字を、公用語である台湾華語(中国語)の発音で読んだ
- 2や3の漢字を、日本では日本語の読み方で読んだ
結局、台湾ではどの呼び方で呼ばれているの?
ここから台湾で呼ばれている3種類の読み方と、日本語での読み方について説明しましょう。
パイワン語の読み方
パイワン族が話すパイワン語はもともと文字を持たない言語ですが、現在ではローマ字表記です。
「吉力吉撈・鞏冠」という漢字名は、パイワン語名「Gi lje gi ljaw・Kung kuan / ギ リュ ギ リャウ・クン クアン」の発音の宛て字です。
台湾語(閩南語)の読み方
台湾語は中国語における方言の一種で、「閩南語(みんなんご)」とも言われています。
閩南語はもともと中国大陸の福建省南部で使用されている中国語方言です。
台湾の漢民族は福建省から流れてきた人が多いため台湾人は閩南語を日常的に話し、その閩南語を「台湾語/台語(タイギー)」と呼んでいます。
吉力吉撈・鞏冠選手の台湾語読みは「Kiat li̍k kiat lo・Khong kuan / ギ レ ギ ラウ・ゴーン グアン」
下で説明する台湾華語(中国語)と比べると、台湾語の方がパイワン語の発音に近いことがわかります。
台湾語と台湾華語って違うの?
台湾華語(中国語)の読み方
台湾華語はいわゆる中国語であり、台湾の公用語です。
そして「吉力吉撈・鞏冠」の中国語読みは「Jí lì jí lāo・Gǒng guān /ジ リ ジ ラオ・ゴン グァン」
公用語なので、メディアなど公的な場では台湾華語(中国語)の発音で読むことになります。
公用語は台湾華語ですが日常では台湾語(閩南語)で会話する人が多いため、Wikipediaには台湾語による読み方も掲載されており、そのカタカナ表記を日本人が見ると混乱してしまうのです。
なるほど…メディアでは台湾華語、日常生活では台湾語をよく使うから、読み方が複数あるのね…
日本人があのカタカナ表記を見ると、別人の名前かと思っちゃうね
日本語の読み方
そして同じく漢字を使う日本では、中華圏の人物の名前をそのまま日本語読みしますね。
なのでアナウンサーは「吉力吉撈・鞏冠」という漢字名を、「キチ リキ キチ ロウ・キョウ カン」と読むことになりました。
Giljegiljaw Kungkuan、ルーツ尊重のパイワン語読みで「ギリュギリャウ・クンクアン」とするのがいいと思うけど、それはそれとして台湾国内では当て字の「吉力吉撈・鞏冠」を発音した「ジリジラオ・ゴングァン」で通っているし、メディアの字数制限も考えるとジリジラオ表記になると思う
— デン内 (@w_guiel05) September 15, 2024
日本では、漢字を使用する外国人(中国や韓国など)の人物名を呼ぶとき、2種類の読み方があります。
- 母国語読み:漢字の読み方を、日本人の母国語である日本語の発音で読む
- 現地語読み:漢字の読み方を、その国の現地の発音に合わせて読む
中国や台湾など中華圏の人物名は、日本語の漢字の読み方つまり母国語読みをするため、吉力吉撈・鞏冠も母国語読みで「キチリキキチロウ・キョウカン」と呼ばれることになりました。
韓国・北朝鮮など朝鮮半島の人物名も初めは母国語読みでしたが、1970年代あたりからは現地語読みに変更され、今では現地語読みが一般化、文字もカタカナで表記することが増えてきました。
めちゃくちゃ複雑な背景があったのね!
まとめ
吉力吉撈・鞏冠(キチリキキチロウ・キョウカン)選手の名前について説明しました。
まとめです。
- 吉力吉撈・鞏冠(キチリキキチロウ・キョウカン)選手は、台湾原住民のパイワン族出身
- 吉力吉撈・鞏冠選手の台湾での呼び方は、パイワン語・台湾語・台湾華語の3種類
- 日本では日本語の読み方をする
珍しい名前で驚きましたね!
吉力吉撈・鞏冠選手の名前は、今後も野球の国際大会で披露されることがあるでしょう。
これからも注目していきたい選手ですね!